代表のありがたい一言
夕方に、某授産施設でパンの詰め合わせセットを三つ買いに行きました。親から頼まれていたので、早速店頭で注文しましたが、居合わせた女性の店員さんが言うには、食パン袋入りがなくて作ろうとするも、スライサーにパン一斤をかけてもストッパーがかかってしまい、うまく行かないとの事。
その間、担当職員が外に出ているので、戻ってくるまで待たせてもらうことに。よくよく話をしてみると、そこの代表の方と言うことで驚くのもつかの間、話をしている内にこちらが今思い悩んでいる生きにくさをピタリと言って見せたので、さらにビックリ仰天でした。
戻ってきた職員さんは女性の方でしたが、いつも俺が通所中の施設に、利用者さんを引き連れてパンを売りに来る人でした。なかなか笑顔が愛くるしい方だなぁと思っていましたが、改めて名前を教えて頂いたので、次回からは顔見知りになれそうです。
代表の方も「成功体験があってこそ、当事者も自発的に動くのだと思いますよ」と言っていたので、なるほどと思いました。当たり前のことなんですが、これが実に難しい。即戦力を求めがちな日本社会では、他人の失敗に寛容になれない部分が少なからずあるものです。
俺の一番の苦しみである発達障害による日本版ニート状態を代表の方に理解していただいたのもあり、俺は心から快哉を叫びたくなりました。おまけに、売り物のコーヒーを待たせた御詫びということでおごっていただき、大変ごちそうさまでした。
施設も利用者も!「守り」から「攻め」の姿勢へ!
バリバラの「オイデヨハウス工賃アップ大作戦」という事例では、自分らで障害固定をし、現状に甘えていたことが原因でした。これは自分らで「障害があるからできない」とすべてを諦め、消費者のニーズやウォンツの理解をしようとしない守りの姿勢ではないでしょうか。無論、今の施設にも言えることだと思います。
逆転の発想で、障害者だからこそできる品質の高さとコスパで勝負できれば、施設の商品にブランド力は当然ついてきます。俺の身の回りにもPDDの人がいますが、一見一言居士な変人ですが、手先の器用さが要求されるパワーストーンなどの工芸品づくりなどをやらせたら、お金を頂けそうなほど高品質なものを作ります。確かに、障害者にはできることは限られますが、その制約の中で最大限の能力を発揮できれば、注目に値する製品はできると思います。
先日、NHKハートフォーラムでサノフィ株式会社の尾上さんは、特殊教育学校側の対応を例に挙げ、「教員は「営業力」を持っていただきたい」と指摘していました。これは、福祉施設を率いる専門職をはじめ、他の職員にも言えることです。この場合の営業力とは、決して押し付けや悪徳営業ではなく、物を売ったり人を企業に紹介する際に、自信を持って勧められるかという覚悟のことだと考えています。尾上さんがこのようなことにふれたのは、いかに今までの学校や施設が守りの姿勢かということを戒めるためなのかもしれません。
職員も施設のことに忙殺されているのであれば、自ら営業力を鍛えるチャンスを失ってしまうようなものです。体育系やらブラックでなくてもいい。例え、口下手でも一生懸命情熱を忘れずに、相手に伝える努力をしてほしい。伝わろうが伝わらなかろうが、とにかく伝え続けることが大切だと俺は強く言いたいです。
利用者が施設にばかりいると、視野もそこだけしか見えなくなるし、コミュニケーションも施設の人間ばかりになってしまうから、企業実習やアルバイトを経て外の空気に触れる必要性は大いにあります。しかし、そういったチャネルに乏しく、コミュニケーションを普段の作業やグループワーク頼みにしてしまうのは、限界が早晩来るものです。「井の中の蛙、大海を知らず」では、本人が入社してから困ることになります。
最近までの自分も恥ずかしながら、「どうせ企業は発達障害を理解してくれない」「どうせ身体障害者や知的障害者ばかり採るんだろ」などと自暴自棄に陥っていました。そこは大いに反省しなくてはいけないと考えています。幸い、アルバイトに行きつつ、社会人の皆さんに日頃コミュニケーションなどで稽古をつけてもらっていますので、今の貴重な機会を大切にして、確固たる社会参加に繋げていきたいです。