あいつのお陰で…。
禿山さんが今日は休みだったので、比較的やりやすかった。
彼は表面糊塗するので、こちらにまで迷惑が及んでいるのである。
例えば、自分の持病が本当だったにしても、それにかこつけて仕事をさぼろうとする。
契約社員の人たちが忙しいにも関わらず、ヒマなコーナーを見つけてはパートの人
たちとムダ話をしている。
この暴挙がある上に、上層部を始めとして周囲の環境が特定の病気への偏見を持って
しまいやすいということもある。
自分は四十肩と言った事があったが、結局あんたが貧弱だからという男根論で
うっちゃられてしまった。
前述のことから自分は病気を堪えてでも、可能な限り働いているのである。
禿山さんの行動は明らかに疾病利得を得ようとする行動である。
病気で悩み打ち明けられない俺にとって、彼は非常に許せない存在である。
貧弱な俺が荷物搬入を先輩たちから怒鳴られながら手伝っているにも関わらず、
禿山さんはほとんど参加しない。転勤が決まっているからという理由で投げやりに
なるのは、社会人としては失格以下である。
窓際族より性質が悪い。窓際族も土俵を変えれば、力を発揮できる機会が
あるからである。…とはいえ、昔の栄光にすがりついていてはただの
うつけでしかない。